農業に関心があっても、実家が農家でもない限り、どのように始めればいいかわからない人は少なくないでしょう。 また、本業を続けながら副業として農業に挑戦したい人や、未経験だけど農業を始めたい人もいるかと思います。 本記事では、そんな人に週末農家の始め方と注意点について解説していきたいと思います。
目次
週末農家とは

週末農家とは本業を別にもっており、文字通り週末(土日)のみ農作業を行う人を指します。 特徴として、小規模から始めることができ、農業に関心がある人も仕事を続けながら挑戦できることがあげられます。 また、栽培方法や作物を自分で選択でき、採れたての野菜を食べることができるメリットがあります。
週末農家の始め方

せっかく田舎に住んでいるんだし、副業で農家を始めたい!となっても、すぐに始められるほど簡単なものではありません。 まずはどうやったら農業を始められるか、始め方を学びましょう。
農業について学ぶ

週末農家といえど、農業のノウハウから農地、農機具の準備、販売方法など、考えることや準備するものはたくさんあります。そのため、まずは農業について学ぶ方法をご紹介します。
農家でアルバイトをする
農業は人材不足であるため、アルバイトを募集しているところが多く、未経験可など幅広い求人があります。
農地や農機具等の初期費用が不要な上、収入を得ながら農業のノウハウを得ることができます。
ただ、体力仕事が多く、農作物や時期によっては早朝または深夜から始まることもあるため確認が必要です。

学校へ通う
農業を体系的に学ぶのであれば学校へ通う方法もあります。週末のみ学ぶコースやオンラインコースなど様々な方法で通うことができます。学校で知り合った仲間と農地や販路などの情報交換をするネットワーク作りにも役立ちます。
体験農園へ参加する
都心部周辺であれば、農地や農機具が揃えられた環境で、未経験でも始められる体験農園というサービスがあります。農業現役アドバイザーもいるため、現役ならではの知識や技術を学ぶことができます。
農地を確保する

当たり前ですが、作物を植える場所がないと農業は始められません。 以下では農地の確保の方法を解説していきます。
地方自治体の農業委員会へ相談する
農地を購入したり借りるためには「農地法」で定められた以下のルールに従う必要があります。
1.農地のすべてを効率よく利用すること
出典:個人が農業に参入する場合の要件(農林水産省)
2.必要な農作業に常時従事すること(年間150日以上)
3.一定の面積を経営すること
4.周辺の農地利用に支障がないこと
週末のみの農家では「2.必要な農作業に常時従事すること(年間150日以上)」に該当せず、自治体によっては購入できないこともあるようです。 また、農業未経験の場合は継続して農業を行うことができるかなど、信用を得られないことで購入のハードルはさらに高くなる傾向にあります。
市民農園を借りる
市民農園は、小面積から始められることや利用料金が安いことから、手軽に始めることができます。 しかし、利用は自家用の野菜を育てることやレクリエーションなど、非営利目的に限定され、栽培した野菜の販売など利益を得るための利用はできません。 また、募集時期は決まっており、新規利用の場合は3~4月が一般的です。地方自治体の広報や掲示板で確認することができます。
知人からの紹介
実家で行っていた農家を継いだが、本業もあって手放したいと考えている兼業農家もいます。近隣の場合、思わぬ条件で購入できることもあるので農家のネットワークは重要です。
しかし、個人で農地を売買する場合、農業委員会の許可が必要など所定の手続きが必要です。
無断で行うと、法的効力がないため登記できず、法律による保護を受けることもできません。
農機具を取得する

週末農家で小規模の農地と言えど、開拓からうね作りまで全て手作業で行うには相当の体力と時間が必要となります。 栽培する作物や規模によって必要なものは様々ですが、週末農家の場合、機械を使う頻度は限られているため、リースや協同で購入をするという方法もあります。 農機具以外にも様々なことで資金が必要となるため、計画的にすすめましょう。
販路を見つける

作物ができたら、今度は販売です。直売所に卸すか、自分で販売する方法があります。
みちの駅などの産地直売所やJA直売所に卸す
少量でも卸すことができ、野菜の価格も安定しているため出しやすいのが特徴です。 しかし、競合がいるため売れるとは限らず、売れ残ったものを回収する手間が発生します。 また、野菜のサイズや品質など「規格」が定められています。
JAグループ


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ブランディングを意識したネット販売
Amazonやメルカリ等で野菜を販売している人が最近増えてきています。 売れたら発送するため、売れ残りを回収する手間がない分、手軽に販売できると言えます。 また、育て方や栽培方法などの情報発信を通じて、独自のブランディングを意識した販売方法としておすすめです。

週末農家を始める上での注意点

ここまで、週末農家の始め方について解説していきましたが、実際に農業をするにあたって心に留めておきたい注意点がいくつかあります。 中途半端な気持ちで始めると、痛い目を見てしまうので、きちんとデメリットも把握して、それでもやりたい、という気持ちがあればぜひ始めていただきたいです。
週末農家は副業として短期的に収入を得るのは難しい
農地、農機具、燃料、資材(種や苗、農薬、肥料など)の資金を用意した上、販売方法の確立が必要となります。 その上、農業開始から収穫まで収入は0です。 農業のノウハウがない状態から始め、計画をたてて行ったとしても、1~2年は赤字になることが多く途中で挫折してしまう人も少なくありません。農業自体を楽しみながら、長期的な視点で計画を立てることが望ましいでしょう。
悪天候や用事に関わらず、継続して手入れが必要
本業の疲れから休みたい時や、旅行など用事があったとしても、野菜は生き物であり定期的な手入れが必要です。 害虫や病気などがまん延すると、1週間だけでも取り返しがつかないことになってしまいます。 また、夏季は雑草の育ちが早いため、場合によっては平日の作業が必要になることもあります。 ほかにも、天候により収穫時期がズレることで平日に作業が必要となることもあります。本業との兼ね合いも含めて計画が必要です。
週末だけで栽培できる作物は限られる
自家用で食べることを想定した場合、様々な農作物を栽培したいところです。 しかし、週末だけの作業の場合、栽培できる農作物が限られてしまいます。 具体的にはラディッシュ、カブ、チンゲンサイなどがあげられます。栽培作物を自由に選ぶためには、多少なりとも平日の作業が必要となることがあります。
害獣対策
虫以外にも、田舎にはイノシシやサル、鹿、カラスなど農作物を荒らす動物はたくさんいます。 対策としては、トタンを使用した柵で農地を囲む方法があります。 せっかく育てた作物が荒らされることのないよう、しっかり対策しましょう。
週末農家の仕組みを理解して、農業を始めよう

いかがでしたでしょうか。今回は、週末農家の始め方と注意点について解説しました。 時間と手間をかけ、自分で育てた野菜の味は格別です。また、屋外作業に肉体労働で汗をかくものの、自分だけの農場があり、自分のペースですすめられる週末農家は魅力的です。 一方、週末だけの農作業で副収入を得るには、短期的には難しく、長期的な計画が必要となります。農業に関心があるのであれば、プランター栽培や体験農園、アルバイトなどを通じて農業を知るなど、無理のない範囲で自分ができることから始めるのがおすすめです。
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