田舎暮らしと言えば、古民家再生や家庭菜園で自給自足など「自由気ままなスローライフ」という言葉を耳にした人は少なくないと思います。また、「土地や物価が安く、都会よりも生活費がかからない」というイメージがある人もいるのではないでしょうか。 けれども、実際は私たちが思っているほど気持ちのいい理想の生活があるわけではありません。 そんな田舎暮らしの現実について、解説していきたいと思います。
目次
自然豊かで穏やかな生活を理想、現実は退屈で不便な生活でもある

満員電車や残業など、慌ただしい日々の生活に疲れを感じることもありますよね。そんなとき「自然豊かで穏やかな生活」という言葉は魅力的に感じるかもしれません。しかし、言葉からイメージするものと実際の生活には少なからず違いがあると思います。
娯楽施設がなく、移動には車が必要
人口が少ないことから、大型のショッピングモールはまずありません。車があれば県外へ買い物に出掛けることはできますが、ちょっとした小旅行のレベルとなります。
スーパーや病院が少なく選べない
スーパーや飲食店が少なく、選べないことから飽きてしまいがちです。また、病院の数も限られるため、例え苦手な医者でも選ぶことはできません。
豊かな自然は虫が多い
草木が多いと、そこに住む虫の数も増え、サイズは大きくなります。さらに田舎の夜は暗いため、自宅の明かりを求めて無数の虫が集まります。せっかく自然が豊かでも、虫が多くキャンプやBBQをしない人もいます。
このように、外に刺激を求める人にとって、田舎暮らしとは退屈で不便な生活と言えるでしょう。 逆に、不便な生活の中で、楽しみを見つけていける人にはいいかもしれません。
安いとは限らない田舎暮らしの生活費

田舎といえば土地が安い、家庭菜園で自給自足など、少ない生活費で暮らすことができると考える人もいるのではないしょうか。生活方法にもよりますが、実際は下記の通り安くないのが現実です。
住宅費以外の生活費は安くなく、車の維持費が必要
都会に比べて土地が安いことから住宅費を安く抑えることができます。一方で、田舎は通勤のための車が一人一台必要です。車は燃料以外にも様々な維持費がかかる上、劣化によって定期的な買い替えが必要となります。また、寒冷地であれば除雪道具や防寒具、暖房費など必要な支出が増えます。
野菜は家庭菜園で作るより買ったほうが安い
家庭菜園で自給自足をしようとすると、それなりに費用や手間が必要となります。うまく栽培できれば、家庭で食べきれない量の野菜を収穫できます。
しかし、収穫時期にはスーパーで並ぶ野菜も旬を迎えるため、コスト的にはスーパーで購入したほうが圧倒的に安いです。また、元を取ろうとすると、家庭で採れた大量の野菜を消費する毎日に追われることとなります。
大きい家や広い敷地は維持費がかかる
土地が安いことから、大きい家に住み、自宅敷地で家庭菜園をしたいと考える人もいるでしょう。しかし、大きい家は断熱効率が悪く冷暖房費が高くつき、メンテナンス費も高い傾向にあります。 また、広い敷地に芝生や植木、家庭菜園をするには、草刈りや植木の管理、降雪地域では雪かきが日課となります。これらを庭師に依頼したり除雪用の機械を導入すると、その分の費用が発生します。
この他にも、娯楽施設を求めて県外へ出掛ける移動費や宿泊費が必要となるなど、田舎暮らしの生活費は決して安くないことがわかります。
田舎の人は温かく優しい?現実は避けられない近所付き合い

田舎の人はなぜ近所付き合いをするのか疑問に思う人も少なくないでしょう。人間関係が苦手な人にとっては、面倒な人付き合いは避けたいところですよね。しかし、田舎では以下の理由から近所付き合いを避けることが困難と言えます。
生活する上で必要だから近所と付き合っている
人口の少ない田舎の税収では農道や水路などの維持管理を行政のみで行うことができず、地域住民の協力が不可欠です。そして、地域住民が協力するために近所付き合いを通じたコミュニティができます。 コミュニティで生きていくためには、人柄に関係なく、近所から嫌われないよう自分の立ち位置を確認したいものです。そのため、うわさ話による情報収集は、生活する上で必要な手段と言えます。
近所からもらう野菜はタダではない
近所付き合いを円滑に保つ方法として、田舎では野菜を配る文化があります。「採れすぎて食べきれないから」や、「迷惑をかけるけどもらってほしい」など言葉を添えられますが、その野菜は手間をかけて育てられたものです。 お返しをしないと非常識扱い、受け取らないと付き合いが悪いとうわさをされる可能性があります。
体力や気力が必要なスローライフ

スローライフというと、自分のペースでのんびり過ごすイメージがあると思います。しかし実際は以下のように、草木の成長するペースに負けないよう一年中体力仕事が求められるハードな生活と言えます。
草刈りや畑作業、 除雪 、薪作りなど体力仕事が多い
春は畑の土作りや栽培準備に始まり、夏は畑の管理や草むしりが必要です。数日放っておいただけでも雑草はみるみる成長し、作業量が増えてしまします。秋は収穫後に畑の片付け、冬は薪運びと除雪が日課となります。 その他、植木の剪定や薪作り、肥料作りをしながら地域の奉仕活動への参加など、とにかく体力仕事が多いです。
古民家での生活はトラブルと付き合う気力が必要
古民家とは名前の通り古い住宅であり、心配な箇所を全て修繕すると瞬く間に新築が建つ費用がかかります。
古い住宅は、住んでいた人や立地環境によって劣化している箇所が様々です。節約を兼ねて古民家を検討する人は、相応のトラブルと付き合う気力が必要となります。
上記の点から、定年退職後に田舎暮らしを考えている人にとって、体力や気力は重要な点と言えるでしょう。また、働く世代にとっては、上記の作業に加えて本業をこなす時間と体力が必要となります。
田舎暮らしは理想だけを求めてはいけない

いかがでしたでしょうか。今回は、田舎暮らしの理想と現実について解説しました。 今回の記事で現実を知り、嫌気がさした人もいるかもしれません。 しかし、田舎暮らしの良いところと悪いところは表裏一体であり、どう感じるかは人それそれです。田舎暮らしにあこがれがある人は、現実をしっかりと見つめた上で、自分がどんな生活を求めているのか考えてみることをおすすめします。
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